高賀山登山 その2

2015年11月17日 05:49



その1の続き。

上の地図は、私の歩いたログです。
4が本来の登山道ですが、間違えて1の方向の谷筋を登ってしまいました。
2の地点で藪に阻まれますが、稜線が見えていたので、
藪を漕いで稜線に出られると過信して、藪に突入しました。

しかし、急斜面に密集した深い藪を漕げるはずがありません。
漕いでは滑り落ち、笹を掴んでは這い上がり、一進一退の悪戦苦闘。
そうこうしているうちに、唯一の帰還ルートである、
岩屋から登ってきた谷筋からも離れてしまいました。

一面の藪の中にポツンと、巨大な岩が存在していました。
巨岩の上から木が生えている、神秘的な場所でした。
その岩の場所がちょうど尾根で、3の方向に谷が切り落ちています。

藪を漕いで稜線を目指そうとするものの、
もがけばもがくほど、3の谷に吸い寄せられてしまいます。
あまりの急勾配に、四つん這いになっても進むのは不可能。
笹で滑って全く足がかりがなく、
腹ばいで笹にしがみついて宙吊り状態です。

笹を掴んで這い登り、滑り落ち、這い登り、滑り落ち…
さながら、アリジゴクの巣に落ちて、もがき苦しむアリの姿です。

なけなしの腕力で笹にぶら下がりながら、
登山口に掲示されていた、若い行方不明者を思い出しました。
こんな低山で、こんな若い人が遭難するものなのか?と疑問でしたが、
そんな私が、今まさに遭難しているのです。

あたり一面、見えるものは藪、藪、藪ばかり。
そして、足元に広がる、落ちたら二度と這い上がれそうにない3の深い谷。
唯一の命綱である、笹にしがみつく腕も、もう限界です。
嗚呼、ついに進退窮まれり。
行方不明者として私の写真が登山口に掲示される様が脳裏をよぎり、
血の気が引きました。





今まで見えなかったのに、目線を変えたら、
東の方角の藪の奥に、
見覚えのある、木が生えた巨大な岩が一瞬チラリと見えました。
それは、暗黒の大海原で灯台を見つけたが如き喜びの瞬間!
諦めかけていた心に火が付きます。
そこからは火事場のバカヂカラを発揮し、
ガムシャラに藪を掴んで、無我夢中で巨岩に辿り着きました。

この巨岩に帰ってこれたのなら、もう大丈夫です。
藪を更に東に漕いで、谷筋のガレ場に無事、戻ることが出来ました。
その藪の中で、いつの間にかダウンジャケットを落としており、
そのジャケットを回収することも出来ました。





生還できた喜びで、無我夢中で谷筋のガレ場を下ります。
浮石だらけで、うかつに足を乗せて浮石ごと滑落すること数え知れず。
石と石の隙間の穴が落ち葉に隠れており、ハマって足首をひねる事数知れず。





道迷いで彷徨うこと3時間、
無事、岩屋に生還しました。

改めて、登山道を確認してみます。
岩屋の看板に気をとられ、そちらばかり見ていましたが、
その脇の石に、ちゃんとスプレーで矢印がマーキングしてあるじゃん!
これに気付かず、岩屋の説明看板裏のガレ場を登ってしまったのです。

こんな簡単な案内を見落としたのか。
それによって3時間も遭難したのか。
自分のとった軽率な行動に、怒りがふつふつと湧いてきます。





やっと登山道に復帰できたものの、もう足がガクガクです。
いつもならもう心がメゲて、また日を改めて登ろうと帰るところですが、
今回は自分への怒りが収まりません。
ここで下山してたまるか!と、般若の形相で、登山道を突進していきます。

落ち葉で見失いやすいルートですが、
スプレーや枝に巻かれたテープでマーキングされています。
人間の踏み跡や人工物がある安心感といったらもう。





岩屋から40分ほどで、稜線の分岐点・御坂峠に至りました。
この分岐を東に少し登ると峯稚児神社、西に進むと高賀山です。

おいこら!峠のすぐそこに立派な舗装路があるじゃないか!
もしかしてここまでバイクで来ることが出来たのか!?
一瞬、R256の旧道のタラガ峠に出たのかと思いましたが、
そうではなく、ただの一般通行禁止の林道のようです。

帰宅後、地図で確認してみましたが、
この林道の詳細は分りませんでした。
登山口で通行止めになっていた、あの林道の延長かなぁ。





稜線まで車道が通じているような低山で遭難したとは…
と思うと、余計に腹の虫が収まりません。
左の谷を埋め尽くす、急勾配の深い笹薮を見て、
どうしてコレを漕いで登ろうなんて考えたんだ!?バカじゃなかろうか!と、
フンガフンガと怒りながら、高賀山へと向かって稜線を進みます。





あぁ、至福の、「あとちょっとで山頂うふふ♪」の風景。





御坂峠から20分ほどで、高賀山山頂に到着。
普通に登れば2時間の行程ですが、3時間の遭難の末、
5時間もかかっての登頂となりました…。

お弁当を持ってきたのですが、気が抜けたらどっと疲れが出て、
全く食事がのどを通りませんでした。
こういう日に限って、水を350mlしか持ってきていませんでした。
谷筋のガレ場を登っているうちに飲み干してしまい、
登頂のご褒美として持ってきたジュース500mlも、
藪漕ぎ中に飲んでしまいました。
甘いジュースを飲んだため、余計にノドが乾き、
食事どころではありません。





山頂からは、御嶽、白山、伊吹山が見渡せますが、
雲が多くてイマイチな展望でした。
看板にたくさん落書きがしてあり、マナーが悪いなぁと思ったら、
看板にペンが設置してあり、自由に書き込みOKとの事でした。
私もなにか書こうと思ったら、そのペンが乾燥しており書けませんでした。





一刻も早く水場まで下って水を飲みたいところでしたが、
せっかくここまで登ったのだから、
峯稚児神社にも行ってみようと、御坂峠を東へ進みます。

峠から急坂を10分ほど登ると、巨岩の上にポツンと小さな社が建っていました。
これが峯稚児神社だそうです。





峯稚児神社を引き返し、御坂峠から登山道を下ります。
途中の水場で待望の水をたらふく飲み、
1時間ちょっとで登山口まで戻ってきました。
登山口から林道を下って、鳥居前の駐車場に停めたバイクにゴール。





林道から見た高賀山。
ちなみに読み方は、「こうがさん」で合っているようです。

慢心から思わぬ事態になってしまった今回の登山でしたが、
今でもなぜ、藪漕ぎを強行してしまったのかと悔いています。
危うく色々な人に迷惑をかけるところでした。

登山口の遭難情報を見ても、自分は大丈夫だと思いました。
もしかしたら5年前の彼は、私と同じミスコースをして、
同じ判断ミスをして藪に入りこみ、3の谷へと遭難したのかもしれません。
若くて体力があるが故に、稜線を見上げ、
私のように、進める!と思ってしまった可能性はあります。

遭難中、痛いと思っている暇がありませんでしたが、
帰宅後体を見てみたら、擦り傷やアザだらけでした。
トレッキングパンツも摩擦でボロボロになりました。
笹の枝で顔を突くので、目だけはガードしていたのですが、
口の中がキズだらけになりました。
ひねった足首や、石にぶつけたヒザが腫れましたが、今は治りました。
藪にしがみついていたので、腕と肩が凄まじい筋肉痛になりました。

もっと気をつけて、慎重に山を楽しみたいと思います。
私を信用して行かせてくれる家族のためにも、
無事に帰ることがなによりも最優先です。
藪にぶら下がりながら、夫や子供達の顔が浮かび、後悔したした事を忘れません。


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